ニューヨーク・タイムズのネット広告売上減少について

ニューヨーク・タイムズ,けん引役のオンライン事業にも黄信号が」
http://zen.seesaa.net/article/87812470.html

ニューヨーク・タイムズのインターネット広告売上が思うように伸びていない、という記事。

新聞社の中でも積極的にオンライン事業に取り組んできたニューヨーク・タイムズ。ソーシャル・ブックマーク、SNS、ニュースアグリゲーターなど外からユーザーを誘導できるように工夫したり、ビデオニュースを強化したりして、新聞を読まない若者の関心を引き、彼らにリーチしようとアピールしてきた。オンライン事業に積極的に取り組むことによって、紙媒体の売上減をなんとか補おうとしてきた。

実際、ニューヨーク・タイムズは新聞系サイトで最もアクセスが多く、ユニークユーザー数は1717万人(07年11月)にもなり、オンライン事業は順調に見えた。

そんなニューヨーク・タイムズがこのつまずき。もちろん、このインターネット広告の売上減少は、ニューヨーク・タイムズだけに限らなければ、米国の景気の影響と判断できるかもしれない。しかし、ニューヨーク・タイムズだけであれば、ニューヨーク・タイムズのオンライン事業が壁に当たったことになる。それは先端を走って市場を広げていたプレーヤーがつまずき、ニュースサイトの広告市場拡大に暗雲が立ちこめたことになる。

新聞社のニュースサイト部門でアルバイトをしてきた私にとって、この状態はなんとも悲しい。新聞社が発信する、取材に裏付けされ、一定の基準で選別されたニュースは、玉石混淆の情報が増え続ける現代にとってそれなりに価値を持ってくると思っている。もちろんかつてほどの影響力は持たないだろうが。新聞社の紙媒体は減少しても、なんとかオンライン事業では成功し、その情報発信力は保ってほしいと思っている。

先日ある研究会で米国メディアに詳しいジャーナリストのお話を聞く機会があった。米国と日本の新聞社は構造が大きく違うのはよく知られているが、広告のタイプに違いがあることは気付かなかった。日本では企業の広告が大半。しかし米国では、個人による物の売買やアパートのレンタルなどのClassified広告が日本よりも多く、それなりの利益を生み出すらしい。米ニュースサイトのnewsday.comはこのclassified広告で最近急成長しているらしい。日本ではリクルートがこのclassified広告で強い。新聞社が入り込む余地はないのだろうか。むしろclassified広告はソーシャル系サイトと相性がいい気がする。そのことは別エントリーで考えてみたい。

今後も引き続き新聞社がインターネットとどう関わっていくのかに注目していこうと思う。