NHK、受信料を支払っている顧客向けに無料のPC・携帯電話向けサービス

http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20369044,00.htm

NHKが、受信料を支払っている視聴者へ付加サービスを始めた。
各種手続きや見逃した番組の再放送メール通知、公開番組・イベント開催情報のメール通知、その他ポイントサービスが受けられる。

受信料を支払っている視聴者へのサービスということだが、あらゆる視聴者に平等に放送サービスを届けるという公共放送の原則に反することはないのだろうか。
また、受信料の不払い者を少しでも減らすために考えられたサービスだと思われるが、果たしてこれらの提供されるサービスが不払い者にとって受信料を払いたくなるほど魅力的なサービスであるのだろうか。私は受信料を払っているが、それほど魅力的には感じない。

視聴者は、こうしたサービスよりも、インターネット経由での番組配信サービスを望んでいるのではないだろうか。昨年の放送法改正でNHKはインターネット配信事業に取り組めるようになった。最近発表があった、放送後の番組がインターネット経由で配信されるサービス「NHKオンデマンド」が年末頃には始まるだろう。

放送番組のインターネット配信は、欧米諸国の方が進んでいる。特にBBCが積極的で、2006年に放送番組を一週間さかのぼって無料でダウンロードできるサービス(BBC iPlayer)を発表し、昨年本サービスを始めている。また、過去の番組をアーカイブとして提供したり、番組の映像を素材として教育目的に利用しようとする取り組みが始まっている(Creative Archives)。

なぜ欧米諸国はこれほどまでにオンライン事業に積極的になることができるのか。
一つは法制度にある。日本では、NHK放送法に定められた業務以外は禁止されており、インターネットの事業は限定的であった(放送法改正により、現在は限定的ではない)。一方、英国のBBCは、特許状と協定書により定められた範囲であれば自由に事業を拡大できることになっている。
二つ目の理由はメディア環境の違いである。日本では、NHKと民放はまるで五艘船団のように団結し、ネット配信に取り組まないようにしてきた。なぜなら民放は現在の放送事業で十分に視聴率を維持し、広告収入を取ることができるからだ。下手にネット配信に取り組めば視聴者がテレビを見なくなり、今ほどの巨額の広告収入を維持できなくなるからだ。また、NHKが新しい放送サービスを始めれば(ネット配信に限らず)民業圧迫と批判を浴びかねない。英国ではどうか。BBCは他の公共サービス事業者と組み、BskyBなどの衛星放送事業者やケーブル事業者などの外国資本のメディアと対立する構図になっている。そうした中で、BBCは常に新しい技術を取り入れて放送サービスを進化させ、放送事業の先導役を担っている。視聴者もこうした取り組みと方針を支持している背景がある。

日本の放送事業者も新しい技術を積極的に取り入れて、先進的な視聴者サービスを提供してほしいものです。